谷中まつり連携企画 前夜祭 まちかど映画会

~あなたの街に映画館が…~

無料鑑賞

2018年10月5日(金)
江戸まちたいとう芸楽祭 まちかど映画会
~あなたの街に映画館が…~

「江戸まちたいとう芸楽祭~夏の陣~」もいよいよ終盤戦。この日は谷中まつり連携企画と題し、その前夜祭としてまちかど映画会が開催されました。


空模様が危ぶまれる昼下がり、『怪盗グルーのミニオン大脱走』の野外上映決行は発表されました。そして上映開始一時間前、「谷中防災コミュニティセンター 防災広場初音の森」に設置されたスクリーンの前には、すっかり濡れてしまったたくさんの椅子。テントの屋根を叩く音が、ガラガラの広場に鳴り響いていました。


それから三十分、気づくとそこには子どもたちの姿が。全身を合羽に包んだ彼らは、あいにくの空模様を楽しんでいるようでありました。スクリーンから離れたテントの下で、上映を心待ちにする子どもたちの輝く表情に、スタッフも気合を入れ直します。そして上映開始十分前、天気がなんとか持ち直したためでしょうか。大人から子どもまで多くの人々が、次から次へと広場に集まってくるではありませんか。そして驚くことに、屋根のない、スクリーン前の席もかなり埋まってきたのです。もはや雨具は必要なくなっていました。時刻は18時。いよいよ、上映が始まりました。


ミニオンズのユニークな動きに、会場からは多くの笑いがこぼれています。新たな登場人物を加え、さらに「ハチャメチャさ」が増した展開に、子どもたちは釘付けです。ご両親と一緒に、あるいはお友だち同士で何かを話しながら。野外上映には十人十色の楽しみ方があるということを、会場の様子から見て取ることができました。


上映中、テントのないスクリーン前の席では、次第に傘をさすお客様が増えてきました。再び天気が崩れてしまったのです。それに加え、夜に向けて気温も下がり、観客の皆様の中には肌寒さを感じる方もおられたことでしょう。しかしそのような中でも、たくさんの方々が最後まで作品を楽しんでおられました。エンディングを迎えた頃の、会場を包むどこか温かい雰囲気は、秋雨の夜とのコントラストを醸し出していました。


作品が終わると、「面白かった!」と感想を述べてくださるお子さまや、「ありがとうございました。」とお辞儀をして帰られるご家族がおられ、スタッフもとても温かい気持ちになりました。迎えに来たご両親と両手をつなぎ、楽しそうに作品について話ながら帰っていくお子さまの後ろ姿は、大変印象的でありました。また、上映開始前から注目を集めていたであろう、ひと際目立つとんがり帽子をかぶった可愛らしいお子さまも笑顔で会場を後にされました。その様子から、間もなくやってくるハロウィンを想起したのは筆者だけではなかったでしょう。


雨の中での野外上映となったため、親御さんはお子様を心配されたに違いありません。しかしそのような心配をよそに、夢中でスクリーンを見つめる子どもたちの様子に、筆者は彼らの好奇心の強さや、若さというパワーを感じずにはいられませんでした。本日ご来場いただいた皆様が、風邪などを引かずに、土日に控える谷中まつりに参加できることを願っております。


上映中には、ふらっと立ち寄るお客様や、帰宅中の足を止めてスクリーンを見やるお客様も多く見られました。そこには、このような野外上映を、生活に根付いた馴染みの広場で行うことの良さが垣間見えた気がしました。


レポート:芸楽祭ボランティア 頓所夕弥